気になるニュース「太陽光パネル屋根へ延焼」検証:ヘーベルハウス×京セラのパネルは?点検義務は?

2019年1月28日 のNHKニュースで,「家庭用太陽光発電で火災相次ぐ」という報道がありました。また,翌日の朝日新聞朝刊でも「太陽光発電で発火、10年で127件 住宅に延焼も7件」との報道が・・・。

とっても気になるニュースなので,少し調べてみることにしました。

1.ニュースの主な内容

2.ヘーベルハウスへ問い合わせした結果

3.法定停点検の義務は?どうすればいいの?

4.資源エネルギー庁のサイトには・・・

1.ニュースのおもな内容

1月28日の朝日新聞デジタルから引用します。


住宅用太陽光発電システムによる発火などのトラブルが、2017年11月までの約10年間で127件発生し、少なくとも7件が屋根側に延焼していたことがわかった。7件の太陽電池パネル(モジュール)はいずれも、屋根と一体型で屋根側との間に不燃材のないタイプだった。同様のタイプは全国で約11万棟にあるといい、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は28日、調査結果をまとめた報告書を公表し、注意を促した。
不燃材なく住宅に延焼…気づかない太陽電池パネル発火
 事故調が調べたのは、住宅用太陽光発電システムから発生した火災や発火、発煙、過熱など。消費者庁の事故情報データバンクには、08年3月~17年11月に127件の事故が登録されており、そのうち、他機関で調査をしている事案以外の72件を対象とした。
 モジュールやケーブルから発生したのは13件。経年劣化や製造上の問題で、配線の接続部に不具合が生じて電流が流れにくくなり、別の回路に余分な負荷がかかって発火する可能性があるという。この13件のうち、神奈川や東京、千葉、愛知、広島、福岡で起きた7件では屋根側への延焼が確認された。
 モジュールは、架台で屋根から浮いたタイプのほか、屋根と一体型がある。屋根側に延焼した7件はいずれも一体型のうち、屋根側との間に鋼板といった不燃材がないタイプだった。ほか6件は、架台に置かれたものや、屋根と一体型でも不燃材が施されたものだった。
 また、13件以外の59件は、発電した電気を家庭用に変換するためのパワーコンディショナーや接続箱からの事故だった。これらについて、報告書は「素材に安全対策が施されているため、住宅火災に至る可能性は低いと考えられる」とした上で、再発防止策として水分が入らないような措置の必要性などを指摘した。
 報告書によると、住宅用太陽光発電システムは昨年10月時点で、全国約240万棟に設置されている。そのうち、屋根との一体型で不燃材が取り付けられていないタイプは、約11万棟にあるという。事故調は経済産業相に対し、こうしたタイプを製造したメーカーに対応を求めるよう要請。住宅火災に関するリスク算定や評価などを実施させ、結果に基づき早急な対応をとらせるほか、該当する住人に応急点検の実施を促すよう指摘した。(長谷文)

朝日新聞デジタル:https://www.asahi.com/articles/ASM1W6CTYM1WUTIL01T.html

つまり,要約すると次のようになります。

・住宅用太陽光発電システムによる発火などのトラブルが、2017年11月までの約10年間で127件発生している

・他機関で調査をしている事案以外の72件のうち,火災や発火、発煙、過熱などが,モジュールやケーブルから発生したのは13件ある

・ そのうち 少なくとも7件が屋根側に延焼していた

・屋根側に延焼した7件の太陽電池パネル(モジュール)はいずれも、屋根と一体型で屋根側との間に不燃材のないタイプ であった

・屋根側に延焼しなかった残りの6件は、架台に置かれたものや、屋根と一体型でも不燃材が施されたものだった

・ 住宅用太陽光発電システムは昨年10月時点で、全国約240万棟に設置されているが,屋根に延焼した7件と 同様のタイプは全国でそのうちの約11万棟 である

・ 事故調は,その11万棟に該当する住人に応急点検の実施を促すよう指摘し

ニュースの内容は,ざっとこんな感じです。

設置したパネルは次の3つのタイプに分けられそうです。
 ①屋根と一体型で不燃材が施されていないもの
 ②屋根と一体型で不燃材が施されているもの
 ③架台に置かれたもの

そしてこのうち,②,③のタイプのパネルは屋根に延焼した事例がないということです。

ということは,まず屋根に設置したのが,①~③のどのタイプなのかを確認した方が良さそうです。そして,NHKのニュースでは「設置者が点検を義務づけられている」と放送していたので,太陽光発電システム設置の契約の中で点検はどうなっているかも確認が必要です。

2.ヘーベルハウスへ問い合わせした結果

まず,太陽光発電システムの導入でお世話になったヘーベルハウスの担当のNさんにメールで問い合わせしました。問い合わせの主な内容は次のようなものです。

・ヘーベルハウスで設置しているパネルは,どのようなタイプか。

・点検についてはどのような契約になっているか。

契約時にいただいた資料などを見ると,架台のあるタイプだと思いましたが,念のため伺いました。また,定期点検については特に資料には書かれていませんでしたが,この報道を受けて,何らかの対応があるのかもしれないと思いました。

さて,メールをした二日後,Nさんから電話で回答がありました。そのおもな内容はだいたい次のようなものでした。

・屋根に延焼したものは屋根とパネルが一体型の特殊なもので,ヘーベルハウスが京セラに設置してもらっているものはそのタイプではない(架台がある)ので心配ない。過去に延焼した例もない。

・定期点検はない。その理由は,これまで30年(とおっしゃっていたと思います)の実績で,不具合が発生した事例がなかった。以前は定期点検を行っていたが,不具合がないので必要ないだろうということになった。その代わりとして10年間の保証がある。もしどうしても点検を希望する場合は有料で実施することはできる。お客様には日常の点検としてモニターを見ていていただきたい。異常があればモニターに表示される。

まずは,延焼したタイプではないことが確認できて一安心。おそらく,ヘーベルハウス×京セラで設置したパネルは大丈夫でしょう。

ただ,定期点検についてはちょっと不満。過去の例から安心ということですが,点検の義務があるという報道もあり,本当にモニターを見たりするだけでいいのだろうかという疑問が残りました。できれば,今回の報道を受けて,無料で定期点検を実施していただければいうことはなかったのですが。東日本大震災やリコール騒ぎの際など,心配を感じたときは,さっと点検してくださり,そういうところがヘーベルハウスのいい点だなあと,日頃から常々感じていただけに少し残念でした。まあ,何でも無料で,というわけにはいかないのもわかりますけど。

ということで,じゃあ定期点検の義務は?どうやって点検するの?ということが問題です。

3.定期点検の義務は?どうすればいいの?

「太陽光パネルの定期点検の義務」でネット検索して表示されたサイトを見てみると,

2017年4月の改正FIT法で、自宅(住宅)の屋根に設置した太陽光発電(低圧:50kW未満)も保守点検が義務化された。

というように書いてあるものがたくさんありました。ん?ヘーベルハウスのNさんの話と矛盾?どんな点検をしなくちゃいけないの?とさらに謎が深まってしまいました。
資源エネルギー庁では, 事業計画策定ガイドライン (太陽光発電)(pdf) で点検について示しているようです。でも,ページ数も多いし,読むのはもちろん,理解するのも大変。どうやら 民間団体( 日本電機工業会・太陽光発電協会 )が作成した 太陽光発電システム保守点検ガイドライン(pdf) を参考に点検するように求めているようです。この資料もまた膨大な量でそれこそ読むのが大変です。さっと目を通したものの,知りたいこと=定期点検の義務がよくわかりません。 分かったのは定期点検の内容で,

実施時期は設置から1年目,5年目,9年目,13年目,17年目,21年目

点検の対象は太陽光パネル、パワコン、架台、ケーブル等の設備構成機器

点検費用は業者によって差があるが5万円が目安

サイトによっては「点検義務を果たさないと,認定が取り消されることもある」と書いてあったりするのですが,2つの資料をざっと読んだだけでは,どこにそう書いてあるのかよく分かりませんでした。

4.資源エネルギー庁のサイトには・・・

そこで,資源エネルギー庁のサイトをよく見てみました。するとそこには

自宅(住宅)の屋根に設置した太陽光発電(低圧:50kW未満)は一般用電気工作物に分類され、法定点検義務がない

と書かれているのを発見しました。小さいので,最初は気付かなかったほどです。このサイトがいつ最終更新されたかは分かりませんが,まだ掲載されているということは,この記述は有効なんだろうというのが私の考えです。他のサイトは民間のものであり,業者による点検義務を必須である(さらに実施しないと認定取り消しもありうる)かのように記載することで,点検を実施させようというねらいがあるのかもしれません。上述したように,ざっとよんだだけですが,それらのサイトには業者による点検の義務についてはっきりと法的根拠が書かれた記載は見つからなかったのです。確かに,費用をかけて,業者に定期点検を実施していただいた方が安全安心だと思います。しかしそのこと自体は,必須の義務ではないと判断しました。その根拠は資源エネルギー庁のサイトです。法的に確認できたわけではないので,きっちりと判断したい場合は, 事業計画策定ガイドライン (太陽光発電)(pdf) を丹念に読むことをオススメします。

なお,資源エネルギー庁のサイト のには,自分でできる日常点検の業務が紹介されています。動画付きですので,ご覧いただくといいと思います。業者に点検を依頼することが法定義務でないとしても,点検義務はあるので,この動画を参考に日々気をつけたいと思います。日々の発電記録がその基礎となるようなので,このブログで日々の発電日誌を継続していこうと思いました。